読み:ゆずさわ れいと
異能:七色の声/絶声/信じ難いほど声が良い
戦闘:唯一の戦闘スキル「美声☆命乞い(逃走)」確率で攻撃阻害あってGuard10とか実は凄くね? DEFさえ上げる手段があれば最強の囮性能に化ける潜在力があった。囮やりたかったな~~~!!!
身体能力:凡人並最弱クラス。だが盾と永続強化によって化けた。
装備:盾を手にした。盾自体の強さはちょっとだが、Guard10だから俺の防御は爆裂に伸びた。盾と結婚したい。
強化:風の女神がくれたスノードロップの刻印。少しの強化でも俺にとっては"叶えたい夢"だった。
バディ:前回の島で出会った人。一緒に来てくれてありがとう。これが俺の"最後のフタハナ"だ。
エンゲージ:二度目のリング交換。プロポーズされた。結婚した!! 翌朝には離婚危機に陥ったがその日じゅうに復縁した。
拠点:星屑基地【53,18】壊さない人、暴走持ちでも他者を攻撃しない人なら、誰でも歓迎
売れないお笑い芸人
元消防士
そして
ヒーローになれなかった男。
娘を事故で失っている
市民を不祥事で死に追いやったことがある
離婚歴がある
現在は恋人と暮らしている
子供のころからヒーローになることが夢だった
事故に遭って障害を負い消防士を辞めた後
"誰かを笑顔にするヒーロー" になろうとお笑い芸人を目指す
6回ほどTVに出たことがあるが、余程のお笑いマニアでなければ彼を知らないだろう
※注意事項※
両性愛者で恋人は男性です。一緒に島に来ています。
特にロールにNGはありません。過激な表現も問題ありません。柚子澤はその時の感情と信条に従った反応を返します。
全体チャットは低浮上です。個別や拠点や周囲に居ます。
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前日譚1 "柚子澤零都"という男
それはとある一般人の青年である。
四国の柚子農家で生まれた末っ子。
つねに上の兄たちの顔色を伺い、気弱ではあるが気丈でそれなりに元気な少年時代を送った。
子供のころからヒーローになるのが夢だった。
憧れの都会で人を救うヒーローに。
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高校卒業後に猛勉強して採用試験に受かり、東京で念願の消防士となる。
その直後、高校時代から交際していた女性と結婚する。
二年後には娘が産まれる。
お嬢様育ちであった妻の実家の財力もあり、世田谷区の高層マンションの12階に暮らしていた。
順風満帆な生活。
間違いなく彼は幸せを勝ち取った――はずだった。
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娘が四歳の時にタクシーに轢かれて死亡した。
娘の遺言は『パパ、助けて』
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柚子澤は人を救いたくてがむしゃらに職務に当たる。
その様子は血気迫るものだった。
それでも悲しみと寂しさと悔しさは彼の心を蝕み、
飲酒量が増えていく。
生活は荒れていった。
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彼の人生が決定的に瓦解した瞬間。
閃光と爆音が彼を包み、扉ごと吹き飛んで熱傷を負った。
消防士・柚子澤零都は
注意義務を怠り
バックドラフトを発生させ
市民2名を死亡に至らしめ
消防隊員1名に重傷を負わせた
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柚子澤は業務上過失致死罪で二年の実刑判決を受ける。
出動時に酒気帯びしていたことで、
厳しい判決が下された。
また死亡した市民は省庁の官僚の妻子であったことも、判決に影響を及ぼしたとの声も囁かれる。
爆発で吹き飛ばされた柚子澤は右半身に大きな損傷を受けた。
リハビリの結果、生活に問題無い程度までに機能回復したものの、
右腕に痺れが残った。中等度難聴となった。
不祥事を起こしたことも当然だが、
身体機能から見ても消防士への復帰は絶望的となった。
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退院後、柚子澤は刑務所生活を送ることになった。
檻の中で柚子澤は決意する。
『絶対にヒーローになってやる』――と。
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刑務所暮らしの間も、妻は献身的に面会に訪れ、柚子澤を励ました。
娘は失ってしまったが、自分に寄り添い続けてくれた妻は柚子澤の心の支えであった。
そして退所後。
柚子澤は『何を目指して生きて行けばいいのか』、と苦悩する。
ある日、テレビで見たお笑い番組。
人々が笑っている。
"そうだ、俺は誰かを笑顔にするヒーローになろう"
決して単なる思い付きではない。
この時、柚子澤はまだ、
自分には希望があるんだと思ったのだ。
こんな自分でも、夢を持ってもいいのだと。
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お笑い芸人になりたいと妻に告白した。
妻は大反対し、修復できないほど夫婦仲は悪化した。
妻の両親にも理解は得られなかった。
そして離婚。
世田谷の高層マンションを出て、墨田区下町のボロアパートでの独り暮らしが始まる。
支えを失った柚子澤はまた絶望に突き落とされた。
それでも夢は諦めたくない。
諦めたくなかったのだ、ヒーローになる夢を。
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元妻はすぐに消防士の男とお見合いをし、結婚した。
離婚よりも酷薄な裏切り。
離婚よりも落ち込んだ。
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それでも諦めたくなかったのだ。ヒーローになる夢を。
もう彼にはそれしか心の支えが残されていない。
芸歴三年目でピン芸人の賞レースにてファイナリストに選出される。
がむしゃらにぶつかっていった結果、一瞬だけスポットライトが当たった。
だが順調に結果を出せて行ったのもそれまで。
芸歴四年目以降はまた無名の芸人に逆戻りした。
再度の転落。
芸歴六年目、SNSで過去の消防士時代の不祥事が暴露された。
(むしろそれまでバレなかったのも凄いのかもしれない)
事務所には殺害予告が届き、
結果の出せない34歳の売れない芸人は、事務所を解雇されるほかなかった。
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絶望し、飲み食いも出来なくなり。
ただ、このまま死んでいくのだろう。
ああ、今月の家賃どうしようかなあ。
墨田区にあるスカイツリーの見える下町、
家賃は最底辺のボロアパートの一室。
布団から起き上がることも出来ないその男の元に――
一通の招待状が届いた。
男はただ『もう一度ヒーローになりたかった』。
チカラを得て、誰かを助けるヒーローに。
招待状に、『柚子澤零都』という、左手で書かれた汚い文字が書き込まれる。
利き手では字を書くことができない。
車どころか自転車の運転も出来ない。
補聴器を装着していても音は聞こえづらい。
歌うのも、ギターを弾くのも好きだったのに。
そう、障害が直ればお笑い芸人としても再起を果たせるかも。
もしかしたら消防士にもう一度戻れるかもしれない。
"ただ、俺は人を助けるヒーローになりたかった"
"それが娘の遺言だから"
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……だが、心の底では。
彼はもう、島で死んでも構わないと思っていたのだ。
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前日譚2 最初の異能と、運命の恋人
「元消防士でお笑い芸人の星屑レスキューこと、柚子澤零都です!!」
全体通信に響き渡るうるさい男の声。
目覚めてすぐに彼は輝き出す。
数百人規模の遭難。人命救助。
元消防士の俺なら必ず出来ることがある。
きっと異能が配布されれば、もしかしたら。
"本当のヒーローになれるかもしれない"
それは浅はかで自壊的な最後の望み。
弱い異能だったら自殺しようと思っていた。
これは絶望した彼に残された最後のチャンス。
目覚めてすぐに、小豆香という医者の男と出会う。
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「ドクターの小豆さんでいいか?
俺は柚子澤。元消防士だ!
事故で障害が残っちまって現役の頃のような動きは出来ない。
それでも協力できることがあれば、させてくれ。
……俺にできることが、この島にあるのなら」
医者の男を見て微笑む。
柚子澤にとってこの島の参加者は全員、救うべき『一般市民』に見えている。
だが医者は人を救うヒーローだ。
彼にだけは本音を話すことが出来たのだ。
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猛烈な眠気に襲われた翌朝。
柚子澤に配布された異能は『催眠』。
対象を指定して微睡みの淵に立たせる異能。
戦闘能力は皆無。
身体能力に一切の変化は無かった。
柚子澤はナイフを頸動脈に当てる。
刃が皮膚に刺さる。血が零れていく。
「――ハハ。
悪いクセが出ちまった。
……考えろ、この能力で何が出来る…!?
考えろ、柚子澤零都……!!」
震える手でナイフを首から離す。
脳裏によぎったのは『まずはあの医者に相談してみよう』、であった。
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この医者が信頼できる男か、柚子澤は話がしてみたいと思う。
どうしてこの島に来たのか? と問えば、
"交通事故で死んだ弟と親友に会いたい"――が、彼の願いだった。
それを聞いて言葉を失った柚子澤は、
娘を四歳の時に交通事故で亡くしていることを語る。
ドクターは言う。
「俺と組めばキラーを鎮圧できるかもな。
俺の異能は"狂化"」
周りの奴らが美味しそうに見えると自嘲気味に彼は言う。
柚子澤は、微笑んで激励する。
「バーサーカーだって英雄になれるさ。
――強いんだろう?」
不敵に、焚きつけるように。
言外には、
"俺はヒーローになれない。"
"だからお前がなるんだ、ドクター。"
と。
言葉には出さないが、
呪いとも脅迫とも激励ともつかぬ感情が込められていた。
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「身の上話を語り合った仲だ。あんたには生きていて欲しいぜ。」
柚子澤はドクターにヒーローの役割を焚きつけながらも、どうか生きていて欲しいと強く祈る。
柚子澤にとってこの島で唯一の拠り所。
肩肘を張らずに話せる、雑でぶっきらぼうだけど、誰にでも優しいその医者は。
「はは、あんがとなヒーローさん。
おう、そっちこそ頼れよ。」
柚子澤のことを"ヒーロー"と言った。
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森で金森まなという、言葉を話せない女性と出会った。
カルト宗教の集団自殺に巻き込まれて強い精神的ショックを受け、傷が癒えても心は立ち直れず、声が出ない。
そういう女性だった。(――少なくともこの時点ではそう認識していた)
助けを求められたと勘違いした柚子澤は、彼女とバディとなり同行することとなる。
彼女が手にした異能は、
自らの周囲にダイアモンドダストを発生させ、
硬い氷を結晶させ、自分だけが使える剣や盾を生み出すというものだった。
あまりにもヒーローらしい強い異能。
柚子澤は美しい氷の輝きを見て涙を流した。
「そういう、ヒーローみたいな異能が欲しかった。」
年甲斐もなく泣き崩れる男。
守る側と守られる側の残酷な逆転を、柚子澤は経験する。
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柚子澤は森の中で何者かの異能の攻撃により、暴走化する。
人を傷つけたくないと叫びを上げた柚子澤は、ドクターの小豆に助けを求めた。
媚薬を使って動きを止めれば暴走が止まるのではと考えたドクターは、柚子澤を拠点に抱き寄せ、媚薬を飲ませる。
拠点内に居れば暴走が止められるかもとの考えから、拠点の中にドクターと柚子澤とまなは逃げ込んだ。
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束の間の平和な時間の直後――
ドクターは暴走した。
拠点は跡形もなく崩れ去った……
ドクターは人気のない雪山に逃げるように退避。
柚子澤はまなを連れてその場を全力疾走で逃げた。
拠点の主であるキュリーはとても落ち込んでいたようだ……。
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「今日やっと、お前がどのくらい大変な目に遭ってんのかわかった。
何もわかっちゃいなかったのに、
助けになりてぇとか、クソ甘いこと言っててよ……
強がってんじゃねえよ馬鹿野郎……
お前のこと、ゆっくり寝かしてやりてえな……」
泣きながら口にする柚子澤に、ドクターは言う。
「いいんだよ。助けになってくれるって言ってくれただけで。
俺は嬉しかったんだ。さみしくなくて、不安もちょっとは晴れた。
だから、強がりなんかじゃないぜ。本当だ」
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深夜、柚子澤は全体通信でドクターの叫びを聞く。
「俺が暴れるからか俺が食うからか俺がなんなんだ
なんなんだよ、どうしろってんだよ、けど、なんでだ。
どうしてだ? どうして俺は止められないんだ。
俺が悪いのに。俺のせいなのに、どうして?
俺は、誰も、何も! 守れないのに!! ……くそっ!!」
柚子澤は叫びを聞いて飛び起きる。
暴走して人を殺め、追い詰められ、
不安と焦燥、絶望、混乱を吐露するドクターに限界が訪れていることを察知。
通信機越しにドクターへ向かって泣き叫んだ。
「何度でも言ってやるよ!!
お前は悪くない!! お前は悪くないんだ、アズ!!」
無力さと悔しさで拳を震わせ、涙が零れ落ちる。
するとドクターは動揺し、柚子澤を拒絶しようとし、恐怖を叫ぶ。
「っな、んで、あんたが泣くんだよ!!
っ、ひっ、お、俺に優しくしすぎないでくれよ。
もし、その優しさを利用しようとしたらどうすんだよ!!
理性に負けて、食欲に従っちまったらと思うと、怖いんだ。
死にたくない、殺したくない、けど、美味しそうなんだよ!!
やだよ。俺は、俺がこわい……」
涙を拭いて柚子澤は笑う。
「やっと本音言ってくれたじゃん。
側に行っていいか?
抱きしめろよ、俺のこと。
お前に催眠かけて弱体化させる。
たぶん暴走中の強さがちょっと弱まるし、少し楽になるんじゃないかな。」
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抱き寄せられた先は雪原と毒沼の間。
雪原に立つ柚子澤と毒沼に立つドクターは抱き締め合ったまま、柚子澤は催眠――『星屑の歌』を歌う。
『君を微睡みの淵に立たせる歌を』――
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「俺さ、弱いんだ。
ヒーローになりたくてこの島に来たのに、ゴミみたいに弱いの。
もうどこに行ってもヒーローになれない。
健常者と同じにもなれねえの。消防士だったのに。
せめてお前のことだけでも助けさせてよ。
救いたいんだ、アズのこと。」
「あんたは俺を助けてくれたんだ。
だから、胸を張ってくれ。」
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その後、無茶を繰り返して花を散らすアズを心配して、柚子澤は島の南の果てにアズを隔離する。
毎時30分に起きる暴走に備え、
毎時20分前後には全体通信にて警告、
周辺に向かって緊急退避命令を発し続けた。
「緊急避難命令。
毎時30分に61,98周囲10座標に狂化異能者による襲撃発生の恐れあり。
この声が聞こえている者は直ちに退避せよ。
よし、居ないな……よし!
今日もここ一帯は平和! ご協力に……感謝します!」
襲撃が起きないことに安堵して、涙を流して星空を見た。
隣には、大切なヒーローのアズがいた。
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柚子澤はアズに歌を歌った。
異能により音域が広がり、
倍音成分が複雑になり、
妙に美声になってしまった男の声が全体通信に鳴り響いていく。
君を微睡みの淵に立たせよう
痛みと苦しみを今だけ忘れさせてあげる
俺は微睡みの淵に立って君の声を
君の罪を 俺の過去も
取り返しのつかない過ちも全部
抱き締めて救ってあげるから
だからこんな弱い俺だけど
君の側に居させてください
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日本に帰ったら歌うま芸人として再起を図るんだ、と、柚子澤は心に誓い……
エンゲージリングを交換したアズと手を繋いで、豪華客船に乗り込み、島を去った。
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だが柚子澤は娘の遺言を忘れることは無い。
島で異能を得てヒーローになることを、
完全に諦めることは出来なかったのだ。
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前日譚3 二通目の招待状と、地獄の果て
柚子澤とアズが豪華客船に乗って帰国してから二か月が過ぎていた。
色々あってすぐに同居は出来なかったものの、同居を始めて一か月が経っていた。
ふたりの生活は順調で、そこにはただ幸せな日々がある。
ずっと続いて欲しい、そうであるはずの日々が――
だがアズの帰りを待つ柚子澤の元に、"あの招待状"が届いたのだ。
招待状の文字を目で追いながら、柚子澤の記憶と感情は掻き乱されていく。
忘れるわけもない娘の遺言。
忘れるわけもない、檻の中の決意。
震える手で招待状にサインするが、あの時のように転移は起きない。
「――まさか、これを外さないと島に行けないのか……?」
外したくない。これはアズとの愛の証だ。
けれど柚子澤はエンゲージリングを外し、テーブルに置いた。
その時、アズが扉を開けて帰ってくる。
慌てて駆け寄ってきたアズは、招待状の柚子澤のサインの下に、自らの名前を書き殴った。
「地獄でも一緒だ。
また向こうで指輪交換しような。」
アズの指輪を引き抜き、テーブルに置いた。
次の瞬間――二人は、あの地獄の島にて目覚めることとなる。
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Inohana 2nd
1日目朝
人生二度目の異能が配布された。
それは変幻自在にして透き通る七色の声を手にし、両声類になるというものだった。
戦闘能力は皆無。逃げるのがちょっと得意な程度だ。
誰かを守れる強い異能が欲しかった。
障害を克服して、またヒーローになりたかった。
だが、芸人を目指す俺にとって"いい声"はこの上なくありがたい武器だ。
悔しさと戸惑いと喜びと達観が入り混じる複雑な涙が頬を流れていった。
アズは全て受け入れてくれた。
"今のユズでいいんだ。過去と比べんなよ"
もう俺は"消防士"だった頃の自分の影に苦しむことはやめようと思った。
それはもう過去の自分だ。
二度と戻れない、過去の姿。
情けない自分を受け入れて進んで行きたいんだ。
ここは過去じゃない。未来へ向かう現在だから。
【hate:情けない自分】を過去形にしよう。
…………………………………の後、
本当に本当に色々あったんだけど……!
結婚直後に離婚危機に陥ったりもしたんだけどさ!
"俺とアズは幸せになりました"!!!
今回の物語のあらすじはさすがに時間切れで間に合わなかったぜ…!
途中まで書いたんだが……さっすがに中途半端すぎるからさくっと無しにしちまった。
ま、俺とアズを知っている人たちの心の中にあるってことでよろしく頼むぜ!
じゃ、また何処かで会えたらよろしくな。
お笑い芸人の星屑レスキュー・柚子澤零都でした!