「きっと、忘れられない一週間になるよ」
「だから覚えていてね」
「俺のことも」
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彼は何よりも、忘れられることを恐れている。
小さい頃、俺はすごく身体が弱くて学校は休みがちだった。
みんなと一緒に外で遊ぶこともできなかった。
病気ばかりしていたから、同級生に病原菌扱いされていじめられたこともある。
それでもただひとりだけ、そんな俺に優しくしてくれる子がいた。
その子がいるから、つらくても学校に通うことができた。
ある時、療養のために数年間山奥の静かな土地で過ごすことになった。
夜になれば満天の星が降り注ぐとてもきれいな場所だった。
俺は毎日星を眺めては、流れ星に祈った。
『はやくからだがよくなりますように』
『みんなとなかよくできますように』
地元に戻ってすぐ、真っ先にあの子の所へ向かった。
積もる話があった。
会えなかった時間を埋めるように、たくさん話がしたかった。
だけど、あの子は俺に言った。
『誰だっけ』
その時、俺は知った。
人はこんなにも簡単に人のことを忘れるんだと。
一緒に笑い合うだけでは、記憶に残れないんだと。
悲しくて、苦しくて どうしようもなかった。
どうすれば覚えていてもらえるのか、そればかり考えるようになった。
そうして気付いた。
思い返せば、嫌な記憶ばかり残っている。
…なるほど、簡単なことじゃないか。
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*PLに関して
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