田舎生まれ都会育ちの、表情の固い青年。
表情の固さは自覚しており、時折身振りを加えたりする。たまにふざける。
趣味はピアノ。
普段は病気がちな母に代わって家事をこなしている。
エプロン姿なのは、ひと息ついた際に招待状に目を通したため。
高所恐怖症。
父さんが亡くなった。二年前の話だ。
死因は落下死。高所作業中の落下事故。
あったのは、すこしの不運と不注意。
それからしばらくして、母さんが倒れた。
あの頃より、母さんはずっとやつれていた。
母さんは俺を見て、泣きながら謝った。
俺は高校を卒業して、大学へは行かなかった。
金も余裕も、それほどなかったから。
誰も悪くなかった。悪くなかったんだ。
だから、この感情は仕舞わなきゃならない。
俺たちはこれを乗り越えて、前へ進むべきなんだ。
父さんもきっと、それを望んでいる。
怖いんだ。
前へ進むことが。先を見ることが。
俺は悪いことをした。
人の心を掻き乱して、茶々を入れる力。
自分の手を汚さず、
誰も悪くなくて、悪いのは俺だけ。そんなこと。
罪悪感は拭えない。
俺の頭の中に、住み着いている。
でも。助けてくれた子がいるから。
隣に居させてくれた君がいるから。
この命を、自分勝手に捨てたくはなかった。
きっとこれは、俺と君だけの秘密になる。
あの未練が振り払われた訳でも、
何かが大きく変えられた訳でもない。
帰れば、いつも通りの日常がやってくる。
傷んだ心のまま、怖いまま。
色々な、新しいものを得て。
すぐには変わらない。変えられない。
そんな軽くて簡単なものでは無いから。
……少しずつ。
ちょっとだけでも、前を向けるように。
大切な友達の傍で、この足で立てるように。
君の隣で笑っていられるように。
俺は頑張るよ。
だから…… 見ていて、父さん。
自問自答の海の中、虚心に花咲く鼓草。
それは実結び綿纏い、風に飛んで友の元へ。
ログ公開等NGなし。オールフリーです。
レスポンスはのんびりめ。
*おつかれさまでした* *ありがとうございました!*