ある男の子のお話
──ある“フタハナ”が開かれたとき、そこに1人の男の子が参加していました。
願いは……きっと“他人からすればちっぽけなもの”だったのでしょう。
それでも母親の静止を振り切って招待状にサインをしました。
…男の子は、最初の夜に後悔しました。
それは想像を遥かに超える恐ろしいゲームでしたから。
二日目の夜、男の子はバディを喪いました。
…それは、島で最初に声をかけてくれた女の人でした。
そして三日目の夜。
男の子は“流星”を見て───
気がつけば、地に伏していました。
全身が痛み、指の先すら動かすのもままならない。
苦しくて、胸を上下させているうちにホロリと涙が溢れてきます。
──“自分の番”だ、とじわじわと死が迫ってきて。
滲む視界でふと傍に目をやって、そこに焼け煤けた花たちを見つけました。
男の子はその花のひとつ、ミヤコワスレへ手を伸ばして……
最期に「母さんの“おかえりなさい”が聞きたい」と願いました。
花たちのお話
その花たちは七色のブーケを作るのに集められるような、“特別なお花”ではありませんでした。
戦火に踏み荒らされるばかりで……いつも、花たちは“特別なお花”のことを羨ましく、そして妬ましく思っていたものです。
──そして“あの日”。
花たちは、男の子の最期の願いを受けて……
《あなたが、“特別ではないわたしたち”に願ってくれたから》
だから、なるのです。
七色のブーケ(おかえりなさいを届ける花束)に。
今はムーディなジャが流れる通信機が落ちているだけです。
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