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No.259 ハロルド
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Trend:出来るだけ避ける
Favorite:unknown
Hate:unknown
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【Battle_Log】
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全ての事象を捉える魔眼を持つがゆえに、彼女は全てのことから目を逸らし続けた。

名を偽り、性を偽り、己を偽り、目に見えるもの、音に聞こえるものに視線を向けない。

自らの神秘を認めないがために、あらゆる出来事を直視しない。
人に翼など生えているはずがなく、瞬時にその身が転移するなどありはしない。
その齟齬は次第に心を蝕み始める。

例え周囲に怒号と怨嗟が渦巻こうと。
血の匂いが漂い、死体の転がる場所を歩こうと。

帰る場所があり、安らぐ場所に身を寄せ、僅かばかりの善意のみを見て、そうして都合の悪いことから目を逸らし続けた彼女の結末は、自らの顔に包丁を突き立て、両の瞳を抉り取った時点で終わりを迎えた。

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直視に耐えない女の死体に、寄り添うようにして少女の手が伸ばされる。
その少女もまた、最期に僅かな救いを求めるようにして。
共に倒れた命は蘇らない。
ようやく訪れた安息は、瞳を潰してようやく訪れた。

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微睡むように空へと昇る中で、彼女は最後の覚醒を得る。
死を望む青年に、呪詛のような願いを託して。
もしも天国と呼ばれる場所があるのなら、また逢えるだろうか?
自ら命を断った者でも訪れることができる楽園がもしあるのなら。
その時は、今度こそ、世界を。自分を、愛することができるだろうか……

【何もない世界】
全ての無を望んだ女の願いは潰え、白紙に戻り。
また、別の願いが生まれる。
ただ、それは、まだずっと未来の話。
今は青年によって桜の木の下に弔われ、見ず知らずの同行人と共にいずこかへと旅立った。

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記憶さえ消え去る最後の旅路。その手前で、
こんな偽りだらけの自分に優しくしてくれた、誰かの笑顔を思い出したような気がしたが────

既に伸ばす手も語る口も知る目もなく。
溶ける様にして彼女の僅かな残滓さえも、この島から完全に消え去った。